ダンジョン飯 九井諒子

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金子が心許なく携帯する食料代を節約するため狩ったモンスターを現場で調理して食べつつダンジョンに進む一行を描いたファンタジー探索グルメ?活劇。
大規模な階層ダンジョンがあり、様々な冒険者たちがダンジョンに潜り探索することが日常の世界。ダンジョンの深部でドラゴンに襲われ妹が喰われてしまった戦士の男性は、消化される前に妹を救うことを決める。しかしほうほうの体で逃げたため資金が乏しくパーティから脱退した者もいたが採算度外視でつきあってくれる仲間もおり、三人パーティで挑むことに。
で、戦士の男性は食料代を節約するため、探索途中で狩ったモンスターを食べることを提案する。モンスターを食べることに関して素人だけでは話が円滑に進みにくいためか、途中でモンスター料理を研究するドワーフが仲間に入り、モンスターを狩っては料理をする、というエピソードが主軸となっている。変則ファンタジーグルメというかサバイバルグルメというかゲテモノグルメというか。
架空のファンタジー世界観でモンスターが調理対象、なのだが某RPGのモンスターのように現実世界に似たモンスターが多く架空とはいえそれなりに既存の食材や調理による味覚に想像の余地があるところが素晴らしい。特に「動く鎧」の正体というか生態の設定は思わず巧い!とうなってしまうほど秀逸だった。
主人公の戦士は前々からモンスターを食べることに興味を抱いていたとか一歩間違えるとアレな設定もいい意味で生暖かい目で見れたり、未知の食材に拒否を示すごく当たり前の反応に思いっきり納得したり、ドワーフの研究熱心さと手際の良さに感嘆したりとどのエピソードもものすごく見応えがあった。
著者の話は前々から好きだったんだけど短編ばかりだったので長編はどうだろう・・とちょっと思っていたけど杞憂でしかなかったwめっちゃ面白い。墓まで持って行きたい傑作。

九井諒子
ビームコミックスハルタ1~ / エンターブレイン
ジャンル:青年・ファンタジー / 好み度:★★★★★

ワカコ酒 新久千映

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20代社会人呑兵衛女子が仕事帰りに入ったお店で美味しい旬のつまみとそれに合うお酒を堪能するお話。1人酒以外のエピソードもあり。
主人公は20代OL。女性の1人酒を描く日常グルメ系ってかんじかな。仕事やプライベート・イベントなどのエピソードを絡め、その日の主人公自身の心情から選んだ店の酒と肴を楽しむというまったりとした構成。著者自身が呑兵衛だからなのだろう、まったりしたノリなのに心底お酒(と合う肴)が大好きで堪能しきっているとひしひしと感じることができる。酒を堪能する時の擬音がたまらないですね。
女性の1人酒に伴う現実では時々あるであろうちょっとめんどくさい事象はあまり出さずとことん酒と肴を楽しむスタンスは良い。料理の絵は達者でおいしそうだし、美味しそうな肴を前にしての飾らない主人公のモノローグは絶妙。酒は飲めない人間ですが1人酒ほんと楽しそう、と思える作品。

新久千映
ゼノンコミックス1~ / 徳間書店
ジャンル:青年・グルメ / 好み度:★★★★★

死にたがりと雲雀 山中ヒコ

荒れた寺に棲み着き、寺子屋を始める浪人の青年と自堕落な父を持つ健気な長屋の少女を中心とした、江戸の下町を舞台にした人情物語。時代劇、なのだろうが人と人のつながりを主題にした暮らしの物語と言って良いみたい。
お人好しっぽい浪人の寺子屋先生は、実はある理由で死にたがっている。少女自身は快活でまっすぐで同世代の子供達からも頼られている。長屋の空き巣の犯人かと少女と仲間達が先生を調査することから、二人は出会い交流が始まるものの、その犯人が自分のの父かもしれないと思った少女は、侍先生になすりつけようとするというとこから話がはじまる。
著者の作品は、何かしら抱えるものを持つ人物たちのぶつかりや交流の描写がどれも心にじんわりと染みるがこの作品も言うに及ばず。人物描写が秀逸で、お仕着せでない浪花節みたいなものを堪能出来る。
世知辛いというか不憫な設定で主人公たちは幸福をつかめるのか不安になる展開ではあったが、著者らしい落とし込みだったと思う。
あとがきなどを見るとこういう題材はキャッチーじゃない分発表する場が少なくなっているらしい。

山中ヒコ ARIAコミックス全5巻 / 講談社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★★☆

血のつながりはない義姉弟二人暮らしの日常のご飯を描いたお話。
高校生の姉と小学生の弟が主人公。二人は正確には両親の再婚による義姉弟。
両親は他界しており親戚というか姉御気質っぽい叔母が生活の保障をして義姉弟は二人暮らしのよう。
天真爛漫な姉にとっては弟はいつまでもこどもで巫山戯ることが多く、弟はそれに難儀する
という状況だが、仲良し姉弟というかんじ。
初見でどういう方向性を想像するかで心の清さが図れそうな題名だが(笑)
主題は家ごはん、日常エピソードにはちょいちょいお色気が入っているよというかんじ。
男子小学生の弟がつくるごはんが多めだが、そればかりでもなく姉だったりサブキャラだったりと
しばりは薄い。懲りすぎない日常ごはんといった体。
ごはんネタはそこそこ楽しいし、日常エピも周囲の友人や知人たちもいい意味でアクが強く
テンプレじゃないひねりのあるキャラ同士のやりとりが面白い。
絵柄も筆致も好みだしキャラ描写が活き活きしているのが良い。

原作:坂井音太 作画:恩田チロ
ヤングチャンピオンコミックス1~ / 秋田書店
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★★

恋は雨上がりのように 眉月じゅん 


無口でクールな雰囲気の女子高生は、バイト先のファミレスの四十路の店長に秘かな恋心を抱いている。海辺の町を舞台に描かれる青春物語。
主人公の女子高生は、かつて陸上部で陸上に傾倒し有望な記録も保持していたが怪我により部を離れている。その宙ぶらりんの状況からバイトを始めるも、心情的に先に進めず停滞している印象。
一方主人公が恋心を抱く対象のバイト先の中年の店長は人生の折り返し地点にたつ冴えないおじさんなのだが、かつて青春時代に置いてきた熱情というか夢というかが奥底にある、というかんじ。
そんな二人が織りなす、恋物語といったところか。各々の人生においての思うところの選択と落としどころ、そして二人の恋の行方を軸に展開される青春ものといったところか。
思春期の少女だけでなく、中年おじさんの青春も描いていくところがミソか。
恋愛方面は、青年向けレーベルというのもあるのかもしれないが、
双方、勢いだけでなく恋愛以外の背景があり、地に足のついた展開だなと感じた。
大仰な演出より、さらっとしたリアルさを堪能出来る作風が印象的だった。
主人公が、中年店長に惹かれるのはなんとなく共感できるなあ。
店長は、キャラデザ的に毒気のない後藤隊長(バトレイバー)みたいだなあとおもった。めっさ好み(笑)

眉月じゅん
ビッグコミックスピリッツ全10巻 / 小学館
ジャンル:青年・青春ドラマ / 好み度:★★★★☆

極貧不幸体質魔法美少女と美形悪の参謀。敵同士ながら正しく敵対できない感情と関係。
魔法少女と悪の参謀の青年の奇妙でほのぼのな交流を描いた4コマ漫画。
魔法少女のほうは、客観的に見て極貧不幸な状況。キュウ○○並の腹黒マスコット動物にいいように扱われというか利用されているかんじなのだが、当人はその不遇に鈍感。
一方悪の参謀は的である魔法少女の置かれた貧乏状況を不憫に思い、かつ恋愛的な意味でも惹かれており、なんのかのと少女に食料を渡したりという展開に。
ちょっとベクトルがズレている純粋さを持つ双方が織りなすぎこちない交流が見所。
ほのぼのでもあり気恥ずかしくなるような空気がツボどころだった。
少女の背景とか黒くも不憫なのは前作と似ているなあ。
著者急逝により最終巻はとても薄く、デビュー時あたり?の短編が巻末に収録されていた。

藤原ここあ
ガンガンコミックスJOKER全3巻 / スクウェアエニックス
ジャンル:少年・4コマ / 好み度:★★★★☆

恋と呼ぶには気持ち悪い もぐす

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モテ男リーマンがひょんなことから女子高生に恋に落ちるが、相手は恋に落ちる前のリーマンの言動に引いたこともあり、積極的なリーマンのアプローチをひたすら気持ち悪がるのだった。
容姿・能力とも高スペックゆえ黙っていても女性が寄ってくるタイプのモテ男リーマン。それゆえに女性を軽んじているところがあり、見ず知らずのヒロインの女子高生に助けられ親切にされた返礼も高飛車な見返りを押し付けようとする。そしてそれまで女性に言われたことのない言葉で一刀両断され、そこから女子高生に対し、本物の恋心を開花し、以後どんなに鬱陶しがられようとヒロインに対するアプローチが続く・・という恋愛コメディ。
ちなみにリーマンの妹はヒロインと親友、という繋がりで二人が交流しやすい設定を作っている。
見方によってはストーカーといっても遜色がないのだが、デキる大人ゆえにその匙加減は絶妙。メアドゲットとか外堀を埋めてく過程とかロマンチックなアプローチとかほんとスペック高いよなと感心することしばし(笑)
スペック高い男性が釣れない女性にアタックする展開は大好物ゆえ読みごたえがある。あとヒロインの親友であり男性の妹たる女子のキャラもいい。女子にとっての二人を見るエピソードも地味に好きだったりする。
ヒロインはオタクという設定だがあまり前面に出てない気がする。リーマンの個性のほうが強いからかも・・。

もぐす / 一迅社1~
ジャンル:女性・ラブコメ / 好み度:★★★★☆

百貨店ワルツ マツオ ヒロミ

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大正~昭和初期?あたりの百貨店を舞台にしたショート漫画や疑似広告やファッションを描いた煌びやかなレトロイラスト&漫画。
おおむねイラストばかりの画集のような内容。漫画もあるがレトロな日常の1場面を切り取ったような雰囲気重視の話。
表紙の絵に一目ぼれしたのと話題になっているということで買ってみたが予想通り当たりだった。
舞台となる百貨店は架空だと思うが、たぶん文化というかトレンドは当時あったんだろうなあと思わせるデザインというか構成というか。
女性のファッションの主流が和装から洋装に変わりつつあった、もしくはまだまだ和装の人が多かったというべきかな時代。モダンガールの絵や美しい着物の柄が眼福。
和装の柄に言及した話とかはじめて洋装を買う女性の話とか
漫画も短いながら雰囲気がよく読み応えがあった。
構成も色使いも卓越した著者のセンスが光る。いいなあ。

マツオ ヒロミ
リュエルコミックス全1巻 / 実業之日本社
ジャンル:女性・画集 / 好み度:★★★★★

大木先生と小鮫さん ふるかわしおり 

いわゆる男女入れ替わりラブコメ。
誠実で真面目だが生徒になめられっぱなしな新米男性教諭と
問題児女子生徒が入れ替わる展開。
入れ替わる前から男性教諭は、問題児女子は噂通りではないと思っており、
実際周囲の誤解の面が多々あるパターン。
草食系?男子の女体のうろたえぶりとか二人のやりとりとか展開など
青年誌レーベルだが少女漫画だな~と感じる。
ストーリー的には少女誌でいいんじゃないかと思う内容だが
青年誌ならではの描写もあるにはある・・か?おっぱいがいっぱいとか(おい)
冒頭は女子の風評やら教諭のヘタレっぷりやらで苦手なジャンルかなと思ったが
1巻中盤で諸々のもやもやがスッキリしてくる。
全2巻なので展開も早かったってのもあるかな。とはいえエピソードなど
みっちり詰まっていて頁数以上に、物語を読んだ!って印象をうける。
ちょっと抜けたところがある教諭の気質と漢前な女子生徒なので
入れ替わっていた方がしっくりくるというのがミソのよう。
正直話自体は普通と言えば普通なのだが、素直に面白い作品だった。

ふるかわしおり
ヤングジャンプコミックス全2巻 / 集英社
ジャンル:青年・ラブコメ / 好み度:★★★☆☆

恋と嘘 ムサヲ 

少子化対策として政府が個々人の最良の結婚相手をマッチングする制度がある世界。
そんな時代に生きる高校生たちの恋愛コメディ。
要するに政府が見合い相手を提示する制度でいいのかな。
主人公の男子高校生は、前々から気になる女子が、結婚相手と出て喜ぶ・・が
直後に別の相手が提示されるというはじまり。
このエピソードで、なにかしらのからくりというか手心みたいなものがありそうな
かんじなのだが、その謎については追究されず、
マッチングされた以外の相手との恋愛物語といった展開になっていく。
決められた相手と成就するか心が動いた相手と成就するか、ということなのかしらん。
周囲に決められた相手以外との恋愛模様という構図は、未来SF設定の話や
明治などレトロな時代においての許嫁云々と同じなわけで、特別珍しくはないと思う。
恋愛展開とか揺れ動くキャラ各々の心情描写が軸だし興味深い展開ではあるが、
先の通知エラーみたいなのが気になって話に集中できないという;
まあラスト近くの盛り上がりのためにそのあたりの伏線は回収されるんだろうけど。

ムサヲ
少年マガジンコミックス1~ / 講談社
ジャンル:少年・恋愛 / 好み度:★★★☆☆