妖魔 楠桂


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血に染まった人々の歴史の影に人ならざる者が蠢く戦国時代。忍の里で育った少年忍者・緋影は兄弟のように育った魔狼に襲われ、魔狼はそのまま姿を消してしまう。緋影は、魔狼を信じ、彼を連れて帰るため旅に出るも行く先々で妖魔に襲われることになる......。
うー。上手く説明できないよう。実際に読んでみてください(汗)。
戦国時代、忍と妖怪との闘いを通して心に闇を持つもの、闇として生きるものの愛と憎悪と悲しみを描いた作品。りぼんに掲載されたとは思えない内容ですね。絵も内容も既存の少女漫画と一線を画しています。基本は人と妖との闘いですが主題はやはり恋愛です。尤も特殊な環境下でのまさに命がけの恋愛ばかりなのですが。また、主人公たちは超能力のような特別な能力を持たず剣とか忍者用武具のみで妖怪を倒すというのもあまり見られないパターンのような気がします。忍者というだけでも一般人とは運動能力が長けていると言えますが。
あらゆる意味で新鮮で退屈しない秀作。作者の勢いが感じられます。改めて読むとやっぱり妖怪とか鬼とか上手いですねえ。初期の作品なので荒削りなペンタッチですがそれがよけいに怖さを演出していると思います。しかし、だた恐怖をあおるホラーものと違うと感じるのは人間の描写が深いからでしょう。
難を言えば、ラストバトルの展開に少し消化不良っぽい印象を受けました(OVAの方では違う展開になっていますが)。だけどこれはこれでいいのかも。

楠桂
集英社文庫全1巻/集英社
ジャンル:少女・ホラーアクション/ 好み度:★★★★★
同時収録(文庫):奇跡の人