フルーツバスケット 高屋奈月

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母と死別し、親戚の家を出てテントで住むことを決めた本田透。ひょんなことからテントを張っていた土地の持ち主である草摩紫呉の家に居候することになる。その家...草摩一族は十二支の物の怪が憑いているという秘密があった......。
終始せつなさで胸が詰まる思いのする作品です。逆境にもスタンスをくずさない透の健気さは癒し系ですね。ちょっとリアリティに欠けるとも言えなくもないですが。草摩一族のどろどろした宿命、透や彼女の友人のエピソード、どれももれなく一度は泣けるかと。人間のエゴと望み、憎悪と愛情が結構強烈に描かれているのですが、ほんわかした柔らかい絵柄のせいか陰惨な雰囲気が出ていないところが個人的に好きだったり。
十二支の設定はファンタジーだけど、古い血筋の閉鎖された家系の歪んだ時代錯誤な考え方を持つ大人たちの描写がなんかリアルで厳しい・・。結局、大人以外の一族たちはみんな内に悲しさを持ってたんですが、ラストではそれなりに昇華されているかなー。読み返してみるとやはり名作だなと感じます。

高屋奈月
花とゆめコミックス全23巻/白泉社
ジャンル:少女・ドラマ/好み度:★★★★★