ガンジョリ いがらしみきお

Amazon
ガンジョリをAmazonで見る

いがらしみきおモダンホラー傑作選と銘売ったホラーストーリー4編を収録した短編集。
「ガンジョリ」
大雪の中渋滞に巻き込まれた若者たちは山村に迷いこむ。村のでこぼこ道で豚をひいてしまったことからおそろしいモノに出会うことになる。
あとがきでは東北版「悪魔のいけにえ」なホラーとあります。閉ざされたコミュニティの禁忌を犯した若者たちが祀られた存在に喰われる話。禁忌と生贄はどういういわくがあるのかとか細かい説明は一切なしなのが気になりましたがあがいて脱出した女性の台詞は印象に残りました。何のかんのと最初から最後まで正統派といえるホラー展開。
「観音哀歌」
突如動き出した巨大観音像をめぐる人々のひきこもごも。観音像を守ろうとする女性、女性の亡くなった母親の存在、右往左往する警察や消防、視聴率のために報道するマスコミ。各々の人間の思惑のぶつかり合いの果てと観音像の謎とオチが秀逸。老人Zとか迷宮物語とか思い出すけどね。
そういやうちの地域にもあるなあ。放置された巨大観音像。権利やなんかの理由でどうにもいじれない存在。
「みんなサイボー」少年の視点で描かれるホラー。オチがほんとにない・・と思ったタイトル。
「ゆうた」は落語と笑いにまつわるホラー。カセットテープの視聴から死が伝播する展開。
ネタ的にはよく見かける構成。正統と見るか二番煎じと見るか。それにしても帯を見るにつけぼのぼのしか読んでいない人にはやっぱり衝撃があるのかなあ。

いがらしみきお
ビッグコミックスピリッツ全1巻 / 小学館
ジャンル:青年・ホラー / 好み度:★★☆☆☆