大正時代。とある理由で女学校を退学した弥生子は彼氏の揺大とともに、世間で注目され始めたパン屋を営むことになる。若きラブラブカップルパン屋さんの物語。
主人公の弥生子が女学校を退学した理由は学校前で彼氏と抱きしめあったため。まあ色気のあるムードではなくドイツパンを持って女学校に来た彼氏に感激して抱きつきってかんじなんですがね。今でこそよく見かける光景ですが大正はその辺はまだまだ厳しい時代ということで。
彼氏は彼女が嫁入り前の女性というのが問題なら所帯を持って商売をすればいい、知り合いの商家のお嬢さんから金を借りられたため晴れて夫婦パン屋を営むことになった次第。
はじまりはほのぼのしたお話かなと思っていたのですが蓋を開けてみるとかなりシビアでリアルな展開。関東大震災の混乱と人間のせちがらさ、商売と人生のシビアな部分が淡々と描写されたのち爽快な展開に落ち着くあたりは著者のカラー。ころんでもつまづいても彼らの本質を失わない若きバカップル。
主人公サイドの話もいいですが、ヒロインの兄や、主人公たちがお金を借りたお嬢さんがらみの話もせつなくて読み応えがありました。
柳原望
花とゆめコミックス全2巻 / 白泉社
ジャンル:少女 / 好み度:★★★☆☆