澤村深雪は天才からくり師の父白雲斎の敵を討つため青年・紅丸とともに旅に出る。しかし行く先々で鬼からくりが彼らを襲う・・・。深雪たちを狙う幼堂の目的とは。
物語の構成が深く適度な長さのため飽きずに一気に読めるお話でした。明快なものと人の業を感じる暗部やブラックなものが混ざっている独自の雰囲気はツボでしたね。ホムンクルスとか賢者の石とか時代劇(江戸時代)にそぐわない設定がけっこう出てくるのにはちと驚きましたが。
この話でのからくりは人が作り出した人形でありながら、普通の人のように動けるものを指します。主人公たちを襲う鬼からくりは妖怪タイプ。なんか登場人物のほとんどがからくりだったり。メインキャラの紅丸もからくりで、命の危険が起こると鬼丸という人格に変わり容姿も変わるという設定です。浄瑠璃の人形が場面によってころっと顔が変わる仕掛けのような描写が良。鬼丸(紅丸)に対比して敵側の夜叉丸の描写もなかなか興味深いものがありました。上田作品の中では一番好きです。
上田信舟
キャラコミックス全2巻/徳間書店
ジャンル:時代劇ファンタジー/好み度:★★★★★