高校生巽は、同級生の雪乃に告白するも玉砕、落ち込む中、有名なスーパーヒロイン・白雪仮面の活躍の場に遭遇し、偶然その正体を知ってしまう。それは振られたばかりの雪乃だったのだ。
ひょんなことから片思いの少女・雪乃の正体を知った少年・巽。雪乃は代々スーパーマンの家系で、ぎっくり腰になり引退した父の跡を継ぎスーパーヒロイン・白雪仮面として戦っていることを知る。秘密を共有することになったことから2人の関係は近くなるという展開。
ちょっと不器用だけどまっすぐな気質の主人公カップルが初々しいですね。見ていてほんわかするというか。特定の敵と戦うというのではなく世のため人のために尽くすというタイプ。とはいえそれだけでは話がまわらないので、彼女の超人的な能力を利用して新しい薬を作ろうとする製薬会社のトップが絡んできます。
特撮ヒーロー系な設定ですが、萌えとか設定に頼りきらずどちらかというと人間ドラマがけっこうウエイトを占めています。心情描写重視ではなく、困難な状況に置かれた主人公たちがいかに乗り越えていくか、みたいな展開というべきか。策謀などもありますが全体的に殺伐というほどでもないゆるさで、シリアスな場面も多々ありますが物語の中に「悪人」はいない印象。
あと思春期の初々しい恋愛模様、特に特殊な状況における互いに対する自分の気持ちや行動の有り方などを考えるエピソードなどは堅実に描かれているところも好きでした。
マスコミや世間がスーパーヒロインに対しての過度の期待や依存、存在の解明に加熱していくあたりのめんどくささやある種の理不尽さもリアルだったかな。
井原裕士
ノーラコミックス全3巻 / 学習研究社
ジャンル:少年・コメディドラマ / 好み度:★★★★☆