ロリータの詩集 山中音和

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過去の出来事により言葉に強いコンプレックスを持つ女子高生・斎。転校を間近に控えた男子校生との出会いと別れをきっかけに、日々を詩という言葉で書きとめる物語。
1話完結形式で、最後に詩で〆られる構成。ゆるりと静謐、センシティブな雰囲気が終始漂う物語。
一人でいることが苦ではなく積極的に他者と関わりを持たない主人公の少女。彼女は、ほとんど認識のない転校を間近に控えた男子校生に、自分の手帳に言葉を記してくれとねだられる。その男子との出会いと別れから、詩を残そうと決めるという始まり。
とはいえ「詩」は作中には出ずその最後に出てくるのみ。ありふれた日常で起こる出会いとそれに伴う想いが静かに描写されています。
主人公は自分が主役!と思うタイプではなくちょっと一歩下がって周囲を見る感受性の高いキャラ。言うときはずばりと言うキャラ設定がツボでした。理解されがたいタイプの彼女を「知る」人物は少なからず存在しているため孤独感は薄く安定して読めました。
感覚重視的なタイトルというべきなのか。漠然とした想いをきちんと表現する力量に惚れる。

山中音和
花とゆめコミックス全3巻 / 白泉社文庫全2巻 / 白泉社
ジャンル:少女・学園 / 好み度:★★★☆☆