平安末期の京都。少女・明日菜は亡き母の遺言により平清盛邸を訪れ、清盛夫婦の娘として暮らすことになる。清盛夫妻、清盛の家来の誠、清盛の魂を狙う海神、その配下の烏洞。各々の望みと感情が交錯する時代ファンタジーロマンス。
主人公が京都の平清盛邸を訪れたのは、清盛の昔の恋人であり霊的能力を有していた母が死の間際、清盛にまとわりつく闇の気配を懸念して娘である主人公に守護の翡翠の玉を渡すよう言われたから。そして、清盛が闇に操られた人間に襲われ続けていることを知る。
いろいろあって主人公は清盛夫妻の娘として邸に住むことになり、清盛の魂を狙う海神とその配下の烏洞から清盛を守ることになる。
歴史が伝える清盛のたどる道をベースに彼を魔から守るという本筋と平行して、人間と魔物両方が絡んだ恋愛模様も展開されていきます。
清盛って悪役の場合をよく見かけるのですがこの話の清盛は誠実でお茶目で女好きがたまに傷みたいなキャラでかなり好感が持てる設定になっています。賢婦人そのものの時子とは本当にいい夫婦という感じ。
逆に清盛に相対する人物がかなりしょっぱいキャラになっています。上皇とか義経とか。義経の母の常盤がまた強烈で。でも実際の彼女たちの経緯を鑑みると逆説的なリアリティはあるんですよね。
主人公の恋愛関係では烏洞と誠など男性キャラが幾人か絡んでいきます。魔物である烏洞は主人公に惚れ寝返る展開は、少女漫画的ドラマ展開だなあとしみじみ。なまじ人間より純粋、という魔物の設定に萌える(笑)
ストーリー構成も心情描写も大変わかりやすく読みやすいタイトルでした。ドラマチックな演出も今読んでもさほど大仰じゃないしね。ただ憔悴などの表情ではホラー並みに怖いときもあるけど(笑)
本筋はまあ終結したものの主人公の恋愛の決着が着ききる前に終わっちゃったのがちょっと残念。
原ちえこ
ホラーMコミック文庫全2巻 / ぶんか社
プリンセスコミックス5巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・時代 / 好み度:★★★☆☆