僕の小規模な生活シリーズ 福満しげゆき

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漫画家志望の青年漫画の持ち込み活動や日々の生活を描いた物語。・・・って書くとフィクション漫画っぽいですが実際は下積み時代を含めた著者の漫画家生活の実録。エッセイ漫画になるのかな。夫婦で生活しながら漫画をかいていく作者の日常を綴った内容。
20代も半ばの漫画家志望の青年(つまり作者)。漫画を持ち込むも芳しくなく生活のためにバイトもしているがすぐ挫折したりゆるゆると続いてみたり。かけおち同然で一緒になった5歳下の妻や、編集担当とのやりとりとかがつらつらと描かれています。
ありふれた生活の場面そのもの、本当に普通の生活の上で当たり前にある出来事をありのまま細かく、淡々と描いてるこの空気がツボどころか。面白いって思わないけどもう読みたくなくなるってこともない不思議さ。人生とは積んだりくずしたりの繰り返しだなーと感じたりも。

主人公の、気弱で壁にぶつかるとおろおろし、頭の中でぐるぐるといろんな事態を想定し模索する様子は、読む人によって感じ方が違うんだろうなあ。ちなみに私はシンパシイを感じる部分がありましたが。主人公と責任の重さが違うけどね。
基本的にネガティブな思考展開ですが、本能的に最悪のことを想定し現実におこることのショックをやわらげようとしている感じ。主人公なりに行動はおこしてるし、実際の所、この話がコミックスになってるのだからまあ成功に向かってるとわかってるあたり安心して読めるかな。

最近漫画家自身と編集者のやりとり系実録ものをちょくちょく見かけるようになったけどこのタイトルが先駆けなのかなと思ったりも。
この漫画の前に、僕の小規模な失敗という1巻完結の漫画がありますがこちらは学生時代から奥さんと出会い結婚するくらいまでの話になるのかな。まだ作者の現実に確立したものがなかったのか、かなり不安定な印象を受けるタイトルでした。著者の学生時代を知りたい方はどうぞ。

福満しげゆき
僕の小規模な生活 モーニングKC6巻 / 講談社
僕の小規模な失敗 青林工芸舎全1巻
ジャンル:青年・エッセイ / 好み度:★★★★☆

全く関係ないですがこの人の絵柄、なんかとても懐かしい感じがしました。子供のころ読んで軽くトラウマになりかけた虫系のホラーもの(虫にさされた人間が虫になっちゃうというような内容)の雰囲気が思い出されます。