とらわれの身の上 樋野まつり

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黒石恵は昂上一家の行方不明によりその財産で道楽生活を送っていた。しかし一族の唯一の生存者・鈴花が14年ぶりに中国から帰国、それまでの生活がフイになるとあせる恵だが、鈴花を前にすると下僕発作が発動する。
下僕発作というのは、鈴花を前にすると、自分の意思とは関係なく歯の浮く台詞を述べながら鈴花に尽くすという行動を示す。なんでこんなことになったかというと、室町時代までさかのぼり、盗賊だった黒石の先祖が昂上の家から竜の掛け軸を盗み、その掛け軸に棲んでいた竜神の怒りに触れ、黒石は否が応なしに昂上の下僕となり尽くす呪いを掛けられたというわけで。
それまで呪いとは無縁だった恵は鈴花の登場で人格が変わるほどの発作が出るという設定。なんのかんのと主人公2人は恋仲になるが、恋人同士では下僕発作はいろいろとネックなことがあり呪いを解くことに・・という展開。
冗談のような主従ネタを絡めた設定によるラブコメ。2人の恋愛の行方も興味深かったですがやはり恵の下僕発作の描写が見所かな。見せ方がうまいというか、突き抜けてるというか(笑)
コントのような大仰な演出と展開でインパクトを与え障害を乗り越え愛を育むカップルを描く構成。乗り越えるというより後に除去するんですがね。どの登場人物もキャラがたってましたが個人的に恵の父親のキャラがいい味出してたなあと。
総じて勢いがあって面白かったのです。やはり2人が恋仲になるまでの話は良かったのですが、呪いを解く行程は蛇足っぽい印象。まあ2人が文句なく幸せになるという終わりのためには必要不可欠ではあるのですが。

樋野まつり
花とゆめコミックス全5巻 / 愛蔵版全3巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ラブコメ / 好み度:★★★☆☆