身内がすべて他界し、天涯孤独の身となった蔦子の元に差出人不明の手紙が届く。手紙の内容に促され、両親の自殺の原因である秋葉家へ、前当主の子どもと名乗り乗り込む蔦子と現当主の不比等との出会いから物語は始まります。
個性的なキャラクターと細部まで作り込まれ、意外性のある事件エピソード。からくりが複雑なので読み応えがあり、心理描写も丁寧に描かれています。登場するすべての人が幸せになるために努力をしている様、しかしそれだけでは幸せになれない場合もあるもどかしさが表現されています。蔦子と不比等、性格も育った環境も正反対の2人が気がつかないうちに互いにかけがえのない存在になる課程が見所。シリアスばっかりではない、ぬるいドラマではなくかといってシビアすぎない、ギャグや和み系なエピソードも入っているバランスのとれた物語だと思います。おすすめの作品の一つです。
加藤知子
花とゆめコミックス全8巻/白泉社
ジャンル:少女・ドラマ/好み度:★★★★★
同時収録作品(シリーズ外):帝王の夏(1巻収録)/世紀末は踊る/さざめく花園(2巻収録)天よわたしの声を聞け(3巻収録)/+-ソルジャー気分(4巻収録)有明週間少女は燃える(7巻収録)