すべてに秀でたカリスマ生徒会長の兄を持つ、いたって普通の少女・真砂。文化祭を控える中、兄が真砂をかばい死亡するそして兄の意識が真砂に入ってしまったようで・・。
死んだ兄の意識が妹に入るというはじまりのお話。兄のキャラはスペックは優秀で見目は可愛くチャら系というか面白い系で極度のシスコンという設定、まあ妹も作中では表現が少ないもののきっちりブラコンですが。活動的な兄が妹の体を動かすことにより周囲の状況が変わり話が進んでいくという流れのようで。
生前とは違った兄と妹の交流を基本に、けっこう複雑なかつての兄の人間関係にからんだドラマとか主人公の兄に対するコンプレックスとか恋愛エピソードが綴られていく模様。ほわほわだった妹が徐々に強くなっていく様は気持ちよかったですね。最後はちょっとびっくりしましたが。
兄死亡から始まったのでどうしてもやるせなく重い雰囲気も多いです。まあシリアス一辺倒でもないんですが。コミカルな演出は上手いなと感じるので、シリアスにするにしてももうちょっと融通の利く設定でもよかった気も。それなりに納得できる秀逸な構成でしたし、その設定ゆえに感情があふれるという表現がぴったりの心情描写が印象に強く残ったわけですが。
恋愛関連は決着をつけずに終わったところとか、思わせぶりで結局どうなの？と思いつつ明確な表現がなかったところとかが気になったといえば気になったり。それにしても主人公のあの台詞はドストライクだったのか・・。
けっこう入り組んだ人間関係なので先の展開が気になって気になって先を読むのが楽しみだったタイトルであり、消化し切れていない部分もけっこうあったがゆえすっきりしないタイトルでもありました。でもそのすっきりししない部分がリアルなんですよねえ。
斎藤けん
花とゆめコミックス全４巻 / 白泉社
ジャンル：少女・学園 / 好み度：★★★☆☆