1900年代初頭のイギリス。養父が亡くなったことから親戚に寄宿学校に送られた少女クリス。その学校は一見格調高く見せているものの実態は刑務所に近い厳しい環境だった。
教師に絶対服従、言われない弾圧など、それらに屈せず団結している生徒たち。敵を欺き頭脳をめぐらせ生きていくための知恵を学ぶ。
設定だけ見ると小公女のシビア版といった感じですが、与えられた運命を受け入れ健気に生きるというのではなく、いずれ勝ち取るための我慢と努力をするという「力」を感じる印象。絵柄は愛らしくかわいらしいので殺伐としたシーンも和らいでいるのですが。
大ボス(笑)の抑圧は厳しいものですが、あせらずじっくり力をつけて機会をうかがう、というタイプの物語は最近あまり見なくなったのである意味新鮮かな。ゆっくり展開ではありますが、シビアな展開ばかりではなく、爽快になるエピソードとか画策の妙にうなずくエピソードなどもあり、そうそうストレスもたまりません。ヒロインが四面楚歌ではなく外界でも彼女を支援するものもおり、安心要素もあるのもいいのかな。
しかし著者って絵柄が変わるなあ。今の絵柄が一番安定感があるかな。物語の構成のしっかりさは健在なのはうれしいところ。じっくりと進む堅実な物語を好む人向け。
もとなおこ
プリンセスコミックス全10巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆