死者の魂を喰らいその死者になりすまし縁のある生者をも取り込もうとする「タマバミ」を母の血を吸った鉈で切る少年レンの物語。
世界設定は日本の現代社会、序盤は、タマバミの餌の対象になった普通の人間たちを中心にストーリーが回り、主人公はあくまで狂言回しの役どころに徹しています。主人公がタマバミを狩る理由がすぐに出ているため、おいてけぼり感はなく、また理由の詳細な説明がないため続きが読みたくなる、と物語の構成もうまいと思いました。
主役である人たちのドラマは等身大で共感できるし、主人公の相棒(?)に感情豊かなキャラを置いたことで面白味が出ている感じ。展開だけ見ると現代社会設定の妖怪ハンター系では割と見るパターンなのですが、主人公の神秘性だけを強調せずあくまで人間ドラマ中心と取れる構成がいいですね。
デザインワークな無駄のないシャープな線と確かな画面構成技術を感じる作画です。絵だけ見ると写実すぎてつまらないかもだけど漫画において読みやすさというのは重要だと思います。
ラストは大人の事情で・・・な終わり方だったように感じました。原作を読んでいないので勘違いかもしれませんけどね。
原作:恒川光太郎 / 漫画:木根ヲサム
ヤングサンデーコミックス全6巻/小学館
ジャンル:青年・ホラーアクション/評:★★★★☆