弱小芸能事務所の社長の息子で事務所を手伝う貫二の前に女子中学生の桃野珠子が現れる。彼女は事務所の稼ぎ頭であるアイドル桃野真珠の娘であり貫二との10年前の約束を果たしにきたというが、貫二はさっぱり覚えていなかった。
桃子は少年のように身軽で強い瞳を持つ少女。しっかりものな貫二。桃子を目撃し彼女に感じた鮮烈な印象の描写とか桃子が事務所にやってきたときの描写など物語の始まりのつかみがすごく好きでした。久々に面白そうだとわくわくする気持ちになったというか。
幼いころの嫁にする・なるといった約束を果たしにきたとはいえ中学生の珠子は恋愛に関しては未成熟ですがどこまでもまっすぐな気質がまぶしいつーかなんつーか。そして徐々に意識しだすところとかもう可愛くて(笑)あと貫二の、自分と周囲に害なす人物に容赦ないところとかどこまでも「かっこいい」気質なのもツボだったなあ。
珠子の成長とか貫二との恋愛の過程、母親との絆と芸能界の話などいろいろ詰まっています。
どのエピソードもちょっぴりせつなくてでも暖かい気持ちになる話ばかり。登場人物がみんな一生懸命で好きな相手に実直でかわいかったりおちゃめな面もあるからなのかな。心がほんわかするってこういう感じだよなあと実感できるというか。
ここ!という場面で印象に残る演出やコマ割りが見事。とにかくキャラがくるくる動くし、シリアスはじーんとくるし、コメディのノリはいいし。特に緊迫した場面なのにギャグ?と思わせる表情とかすごすぎる。とにかくうまい。
田中メカ
花とゆめコミックス全4巻 / 白泉社
ジャンル:少女・恋愛・ドラマコメディ / 好み度:★★★★☆