作者急逝後ウィングス文庫に再編集されています。以下はコミックス版での感想&内容。
母に先立たれた葵・遠志・珠生の3兄弟の父は母のみを愛し息子たちの名前すらおぼつかない人だ。彼女の墓の近くに住む父とは母の命日会うことが慣習になっている。次男遠志は、今年も変わらない父の姿に脱力しつつも父に儚い期待を抱く...。表題作他「天色神殿」「やまつみのころびね」「猫とUFO」を収録した短編集。
作者のコミックスの中では一番好きなタイトルだったり。表題作はほんとに面白かったです。レトルトを生食してしまうほど世俗に疎いという表現も生ぬるい不思議イキモノな父になにかを期待する主人公の描写がツボどころ。長男はやかましいですが、まあ一番まともな神経だと思いますよ(笑)三男は達観したところが好きですね。世間体とか責任とか社会的な制約に縛られずだた妻を愛することだけを生業とするおとーさんの純粋っぷりには脱帽ですね。フィクションだからそう感じるけど実際いたら大変だけどね。
愛も分ければ減るというのは名言だと思います。
「天色神殿」は神に仕える巫女と世話係としてやってきた外国の青年の物語。ほのぼのな話かと思ったらちょっとせつなさも含まれていました。天真爛漫な青年の表情と巫女ちゃんの愛らしさが好きでした。「やまつみのころびね」も神様が関わるお話。沼の神様に生贄として捧げられる少年と彼を助けようとする友人と神様のやりとりが面白かったです。生贄を欲しがる割にちょっとまぬけなところがある神様がツボでしたね。やまつみのころびねのあとの作者のコメントに思いっきり共感してしまいました。
あとり硅子
あとり硅子短篇集全4巻/ウィングス文庫/新書館
これらすべて不確かなもの/ウイングスコミックス全1巻/新書館
ジャンル:少女/好み度:★★★★★