太宰治作の人間を描いた純文学を現代舞台に焼きなおした漫画化作品。
裕福な家庭で育ち容姿端麗頭脳明晰とまさに周囲がうらやむ完璧な少年である主人公。しかし彼は周囲から好かれるように常に仮面をかぶっていた。絶対的な存在の父親とそのプレッシャー、周囲との兼ね合いに疲れる主人公は逃げる場所をつくりそれゆえにまた悩むというスパイラル。
時代設定を変えているため原作既読でもそうでなくても読める内容だと思います。多分。しかしやっぱりどこか古臭いというか昭和風味な雰囲気だなあと思ったりも。
精神的に縛られていると感じる主人公の心情描写が見所か。純文学のあの底なし沼のような深さがきっちり表現されています。この雰囲気が好きな人なら読んでみる価値あり。
原案:太宰治 / 漫画:古屋兎丸
ブンチコミックス全3巻 / 新潮社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆