19世紀英国。ルパート・ユースタス・マードック海尉はいわくつきで有名なコランタン号に着任する。その船は見えざる船員がいたり奇妙な猿がいたりと不思議な現象が共存しており、船員たちはその現象を日常のように受け入れていた。その生い立ちから、不思議現象に戸惑いつつも船に残るルパート。そんな中、指令が入り任務をこなすという展開。
ゆったりしたペースで展開される海洋冒険もの。英国海軍が主役というのが個人的に目新しくて新鮮でした。まあ海軍といっても規律ガチガチってキャラは少なく多彩なキャラ設定が物語に深みを与えています。
なじみの少ない一般的な海軍内部の舞台背景の説明は、物語の展開の中に自然に混ぜ込んでいてするっと話に入れたところが好印象。構成とか会話や人物の動きの「間」の取り方が洋画を見ているような感覚を覚えるのも特徴か。
国同士のイザコザをからめた人間同士の現実的な事件とファンタジー不思議設定を上手にからめた秀作。そういや英国って現実でも幽霊や怪奇現象を身近に感じるお国柄でしたっけ・・。
工場長の息子であり本当は不思議なものは好きだったのだが家庭環境から現実主義な思考になっているという主人公の設定が伏線の1つになっているのかなーとちょっと気になっています。
原作:大木えりか / 漫画:山田睦月
コランタン号の航海 水底の子供 / ウィングスコミックス全2巻 / 新書館
ロンドン・ヴィジョナリーズ ~コランタン号の航海 / ウィングスコミックス全3巻 / 新書館
コランタン号の航海 ~アホウドリの庭~ / ウィングスコミックス1巻 / 新書館
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★★☆