魔界の支配者である魔王と大魔女王の間に生まれた第十五王子・アムカは、生粋の悪魔であるにも関わらず、人間に憧れ、人になりたいという望みを持っていた。彼と彼を取り巻く人々が起こす事件を描いたシリーズ。
シリーズのはじめはコメディ調の恋愛ものっぽかったのですが、後になるほどシリアス色が強くなり人物描写にも深みが出てきています。自分が相手を思う気持ち、他人が相手を思う気持ち、他人が自分を思う気持ち、なかなかうまくかみ合わない関係はもどかしく切なく、いとおしく感じます。「魔法BITTER」でのガーヴォがアムカに言った言葉は長く記憶に残っています。
アムカの未来とか彼の周りの人物との関係とかかなり掘り下げて語られた「魔法BITTER」以降、シリーズとしては完結しないままに放置されています。「魔法BITTER」の後に「ぼく地球」連載の後に続きを書く予定だったらしいのですが、「ぼく地球」が予想以上に長く濃いものになり、タイミングを逸したという感じ。かなり盛り上がったと感じていただけに残念。
2007年に文庫版で再発売されました。
日渡早紀
白泉社文庫/白泉社
アクマくんにお願い全1巻/アクマくんマジックミニオン全1巻/魔法☆BITTER全2巻
ジャンル:少女・恋愛・ファンタジー/好み度:★★★★☆