鋼の錬金術師-シャンバラを征く者- 

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テレビアニメ版の続編なのでテレビ版を見ていないとさっぱりわけがわかりません。
テレビ版の最後で主人公エドワードが別の世界(現実世界に近い世界観)に行ったところで終わりでしたが、映画はその後独裁者を崇拝する秘密結社のシャンバラ計画にまきこまれる・・という流れ。
ストーリーとしてはまあ可もなく不可もなく。OPとEDはかなり手抜きでしたが。個人的には映画で観た時ちいさなおこさまもいたりして刺激強くなかったかなあと心配;血ーどばどば出てますよ;;
あと、構成とか演出とか、なんとおおきなおねえさん向けだったのかと。まあ人気の源ですからな。映画に出たハイデリヒさんのインパクトは強烈でした・・。
テレビ版でもそうでしたが、ほんとにものの見事にかみあってない人間関係が切なかったですね・・。錬金術師が語る「この世は等価交換が原則」と相対に、人の心は決して等価ではありえないと。想った相手に同じだけ同じ形で想ってもらえるとは限らない。その意味で等価を得られたのはアルとエドだけかのー、と思ったり。あとラースもかな~。
ハイデリヒさんってなんか貧乏くじっぽ;ストーリー構成上、アルを現実世界に来させるためだけに死んじゃったとしか;彼の死に様が泣きたくなるくらい辛かったよ;
一番こころなごんだのは現実世界のブラッドレイ。おっとり性格と見せかけてけっこうゴーイングマイウェイな性格はツボでした。なんかエドと息ぴったりなんですが(笑)
一番涙を誘ったのはホーエンハイム氏。拉致られてるのに、息子にその可能性すら考えてもらえず、とっとと弟とくりそつな人のところへ転がり込まれているという・・。一応現実世界に来てからいっしょに住んでたのにねえ;いかにそれまでの行動が災いしているとはいえ不憫すぎる。
一番哀れだったのはロイさん(何故かさんづけ)。つくづく報われない人だ。やっぱりエドにとって大佐はホーエンパパと同じ存在なんですかねえ。待ってたのにあの仕打ち(笑)まあリザさんと仲良くやってください(希望)。
一番切なかったのはエンヴィーかなあ。エンヴィーはやっぱりホーエンパパに愛されたかったんだよね。でもパパは欠片も自分を見てくれなくて「罪」の対象としか見てなくて、エドへの愛情ばっか語ってそれでプチンてきれちゃって牙にかけちゃったんだと思う。不憫。
エドとアルの最後の選択。もちろんエドの場合は爆弾のことがひっかかってたからだろうし、アルはエドといっしょにいたいという気持ちがあったからというのが大半だろうけど。でも自分のしでかしたことへの逃避もちょっとあったんじゃないかなあと思う。だからどうということはないんですけどね。まあアルの場合は錬金術が使えないところにいたほうが長生きするかもね。いくら離れやすくなってて弊害が少ないとはいえ魂を分割するのはどうかと思ったよ;;
絆を持つ唯一の者がいればそこは自分の世界になる、ってことでしょうか。良くも悪くも人の想いと行いのシビアさがありありと出てる作品でした。創作物に少なからず癒しや夢がほしいと思ってる人向けじゃないけどわざとらしいお涙頂戴でないところは評価したいです。

2005年映画115分/堪能度:★★★★☆