感染者は異形の怪物に変化する謎の伝染病カミヤドリ。伝染を防ぐため、発症し怪物と化した者を処理するのは特捜(スカッドラ)。組織の戦闘員である右腕(ライトアームズ)の青年と相棒の少女をはじめとする特捜の面々とカミヤドリの人々の物語。
中央アジア、カトマンズあたりをモデルにした世界観。この世界で横行する伝染病・カミヤドリは、完治の方法がわからない病であり、ウィルス保持者は発症を抑える薬を投与するしかなく発症すれば姿が変わるだけでなく周囲の影響が甚大なため殺すしかないのが現状。カミヤドリを完治する巫女と呼ばれる者とその代弁者を通してカミヤドリ発症者の位置を知り、特捜(スカッドラ)と呼ばれる組織がその処理を行う。
「カミヤドリ」で、現在からキャラの過去、カミヤドリのはじまりといった主要な話はあらかた語られ、その先の話であろう「神宿りのナギ」が続編として展開されています。続編は前作と主人公が違いますが、同じ組織、同じ役職の少年が主人公なので、前作の登場人物が多く出ます。でもほとんど頓死してしまいます;どうも謎めいた展開で先が気になるのですが・・。前作でもたびたび登場した公安みたいな組織・調査部が物語の鍵のようです。
謎の伝染病をめぐるアジアンファンタジーバトルアクションといったところか。こまごまと丁寧な世界設定が組み込まれていますが物語の中ですんなり頭に入る構成。
悲しい過去を背負う青年、相棒になる無垢な少女、上層部の思惑がからんだミステリ要素、カミヤドリに冒された人間のドラマ、ハードボイルドとアクションとドラマとついでに萌え要素が渾然一体になった秀作。
個人的にはアジア圏の文化や風土の描写が魅力でした。インパクトのあるキャラ設定も。
三部けい
カミヤドリ / 角川コミックスエース全5巻 / 角川書店
神宿りのナギ / 角川コミックスエース全3巻 / 角川書店
ジャンル:少年・アクション・ドラマ / 好み度:★★★★☆