同じデザイン学校に通う早苗・諒・令子の３人組が学生生活最後の春に体験するマイペースで能天気な青春群像を描いた物語。恋に憧れる早苗はデッサン授業に来た男性モデルに一目ぼれ。そしてモデルは諒と同じアパートの住人だった...。
グリーン・ウッドの女子専門学校生版ってところかなあ。一見、勢いとノリで行動しているようでけっこう考えたり悩んだり...ってな感じの３人の描写がいいですね。けっこうリアルなストーリー構成なんで共感できるところもある人多そうだ。私はオタクだから共感薄いけど（汗）ラストのあっけなさも実話っぽいと思ったり。
関係ないけどコミックス版は天使とダイヤモンドの残りが収録されたというかなり変則な中身だったっけ。文庫版に収録されているほかの話はだいたい同じジャンルのようです。女の子視点の淡白な恋愛もの。
作者の短編の中では一番好きな「雪女」が収録されているのが嬉しい。子供の頃雪女に出会った少年が大きくなって恋人が出来、昔話のように言ってはならないという約束をやぶりその恋人に雪女の話を語ると...みたいなお話。ホラーじゃなくてちょっとサスペンス仕立てのとてもせつない物語です。雪女の独白が胸をしめつけられます。辛いときにいっしょにいてくれたからおまえが望むときにいつでもそばにいてあげる。...でも大きくなった少年はもうひとりではなくなった。だからもう私がいなくても大丈夫だね。雪女の少年に対する感情は恋愛じゃなさそうだけど（そうだったらごめんなさい）せつなかったなあ。
那州雪絵
白泉社文庫全１巻/白泉社
ジャンル：少女・恋愛コメディ他/ 好み度：★★★★☆