白のふわふわ―9 clouds of Yamana worldをAmazonで見る
いろんな女の子の恋の模様を描いたファンタジックメルヘン9編の物語。
女の子を主役にした恋にまつわる短編、なんですが、ありふれた日常のなかにありえないファンタジー・SF的な設定が盛り込まれていて、それが違和感なく展開されているところが特徴。
新婚夫婦のとなりの住人はかえるだったり、好きなものをなんでもしまっちゃえる質量の法則無視のくまのかばんだったり、妄想が花開いたり、電話線を伝って直に告白したり。
まんが短編というより恋をテーマにしたちょっとおおきいこ向けの絵本のような。著者のところも「話・絵=作者名」ってなっているからそういうコンセプトなんだろうと思われ。それにしても日常の世界観でメルヘンな設定で女の子を描く力量はすごいなあ。
この作品群の中の女性は年齢は様々なれどみな「少女」なのでしょう。地に足をつけ日々を生活すると同時に夢を見続ける女の子。
おおむね、恋心や日常の再確認といったふわっとした内容ですが、1篇だけちょっと毛色が変わったのがあります。「ハミング」
いろんな好きなものをなくす前にくま型のかばんにつめる女の子。そのかばんとも対話できる。女の子には彼氏が出来て毎日が楽しくて、でもある日彼氏と別の女の子といるところを発見。そして嫌いになる前に彼氏を「しまってしまう」その後世界が色あせ、世界全部を「しまってしまう」
くまかばんは言う。君も中にはいれば悲しくなくなる。女の子がとった選択は・・。
これ、一瞬はらぺこあおむしを思い出してしまった。ラストはちがうけどね。でも決してバッドエンドじゃない、何か矜持のようなものを感じる印象に残る1編。
山名沢湖
ビームコミックス全1巻 / エンターブレイン
ジャンル:青年・恋愛 / 好み度:★★★☆☆