19世紀ロンドン。やたら長いバネつき足でとびまわり、服を破くなどの女性にいたずらを続けた通称バネ足ジャック。そのいたずらは幼い少年がおこすそれと類似しており女性に危害は加えられたことはなかった。そしてある時を境にジャックは現れなくなっていたが再び登場した。前と異なり恐怖の殺人鬼となって・・。
とある博物館に客が訪れ女主人がそれを出迎え、客の口からバネ足ジャックについて語られる・・・という導入。そしてその語りの主格はジャック本人であり、「バネ足ジャック」の変貌の理由と顛末が語られています。ドラマと活劇とサスペンスがいっぱいつまっています。後半はジャックの姪と少年のお話。こちらも痛快で楽しい仕上がり。こどもたちの冒険って感じですね。
緻密で情報量が多いのに「お話」という雰囲気が壊れていませんし、構成や人物関係の設定はありがちというかよく見かけるものですがそう感じさせない人物描写はあいかわらすうまい。
心理学とか機械仕掛けの足とか当時の人々の考え方とかの描写から、産業革命華やかなイギリスの社会要素を十二分に出しているところとか作者の力量が垣間見れますね。
実在の人物がモデルのようで。巻末にコラムっぽいのが載っています。
藤田和日郎
モーニングKC全1巻 / 講談社
ジャンル:青年・活劇ドラマ / 好み度:★★★★☆