昭和43年神戸。4歳の男の子・なおくんをとりまく日常を描いた物語。
大阪万博に沸く少し前の昭和43年。舞台は神戸。4歳の男の子なおくんの視点による家族や知り合い=登場人物の紹介から始まる。
おとうさんはびょーきでにゅーいんちゅう、でもおとうさんのともだちのおっちゃんたちがいっぱいいるからさみしくない、おかあさんは美人、なおくんが不思議なのはおっちゃんたちがおかあさんをねーさんと呼ぶこと。
種明かしをすると主人公の父はヤクザの組長で服役中で、なおくんは極道の妻である母親と舎弟たちが面倒を見ているという状況。
外観としては任侠の世界における日常な話ですが、殺伐としておらず、4歳児の視点とほのぼのな絵柄からゆったりした印象を受けるタイトル。まあヤクザさんもずーっと抗争とか寿命が縮むことばかりしているわけではないわけで。
どの家庭でも出る例の黒いアクマとか、ラムネの呼称などごく普通の家族の話、近所の人との交流、ヤクザ解体?のために潜入した警官と舎弟の話など、ごくありふれた日常から大人の事情まで様々なエピソードの集まり。これらを4歳児の視点でも描いているところがミソ。
当時の時事や文化・生活環境などもふんだんに使っているので懐かしいと思う人もいるだろうなー。
小さななおくんの疑問に、曲がりなりにもこどもが納得するように語る大人に妙にノスタルジーを感じたり。大人がちゃんと大人だったころ、という帯のコピーが言いえて妙。
ナカタニ.D
バンブーコミックス1巻 / 竹書房
ジャンル:青年・日常ドラマ/ 好み度:★★★★☆