平和な月の世界の統治者・女帝銀后の娘・カグヤは、武道ばかり励み後継者としての勉学をおろそかに奔放に暮らす姫。彼女の立太子の儀の間近、母は病に倒れ分家が王位を狙いクーデターを起こす。カグヤは船に乗せられ月を脱出、流刑地である穢星(地球)へ降りる。
かぐや姫を元ネタにしたファンタジーSFアクション。月から地球にやってきていずれ月に帰るであろう姫、翁たちの設定など、SFファンタジー的独自の設定と元ネタをうまいことあわせて味付けしてあるなあと感じました。
主人公は気質はまっすぐで武術の鍛錬には励む、しかし世間知らずで周囲の期待に反発するというお姫様。彼女は分家の政権クーデターにより地球に堕ち、地球の人々の生活や月と地球の現状を知り、主人公が持つ王位継承に不可欠な刀を奪取せんとやってくる月の刺客たちの戦闘などを重ねていく。
最初は世間知らずで単純ながら経験を重ねるごとに学び成長していく模様。定番の展開ながらそれでも惹き込まれる魅力は確かに存在。とにかくよく動く登場人物と展開、メリハリの利いたキャラ設定が良いのかな。構成が整理されていて初見でするりと物語に入れるのはやはり著者に力量があるんだろうな。古代の文化や服装などを基盤にスタイリッシュに仕上げたキャラデザが個人的にツボでした。活劇とドラマが大好きな人には楽しめるタイトルだと思います。
遠藤達哉
ジャンプ・コミックスSQ. 全5巻 / 集英社
ジャンル:少年・活劇 / 好み度:★★★★☆
少年誌で女の子が主人公の活劇ってあまり長く続かない傾向、というイメージがあるのでがんばってほしい・・。