都一と謳われる名妓である京都祇園の芸妓・胡蝶と彼女をとりまく男性たちの物語。
作者の絵柄にぴったりのテーマだなあと思いました。胡蝶の生き方や彼女を欲する芸を生業とする人たちの人間模様も見ごたえがあります。胡蝶の芸妓としての仕事や行事のエピソードを通して、あまりなじみのない花街のしきたりや舞妓・芸妓の世界がわかりやすく展開されています。いまでは舞妓さんのなり手が少ないという理由がこの作品でわかりました。
ただ黄金期をすぎた現代の祇園のお話なので「舞妓・芸妓のドラマ」としてみるにはちと物足りない面があるやもしれません。
全体として面白いと思うのですが、ときどき出る、和風ファンタジーなエピソードはいかがなものか。胡蝶の舞が神域に達するということの表現らしいのですが他が現実的な話なのでなんだか興ざめしてしまいました。特に神様が出てくるエピソードに違和感を覚えます。まあ巻が進み、胡蝶の過去や彼女の母親のエピソードが出てきたあたりからそのファンタジー設定の意味が明らかになり、違和感は薄れてきていますが。
河惣益巳
花とゆめコミックス全12巻/白泉社文庫全6巻/白泉社
ジャンル:少女・業界・ファンタジー / 好み度:★★★★☆