孤独な音楽家と貧しい画家の芸術家BL画家と音楽家・何処無市ラブストーリー・ここは、愛の惑星。・家に帰るまでが遠足・地上で最も美しい生き物を収録したBL短編集。
画家と音楽家
全３話。名声を得るもスランプになった苦悩と孤独に苛まれる音楽家と、絵が売れず貧しいながら絵を描き続ける現状に幸せを感じる青年画家。なにもかも真逆の彼らが出会うとき物語ははじまる。画家の純朴な魂に触れるうちに音楽家の心が解け始めるという展開。
互いの生活描写から出会い、苦悩や思いや行動、そして相手を思う気持ちが淡々と静謐に描かれていきます。芸術家ならではともとれる不器用なやりとりというか考え方がもどかしくもあり高潔でもあり。幸福なのか不幸なのか微妙というか読み手によって解釈が変わりそうなエンディングもまた特徴か。
何処無市ラブストーリー
物や人の名前だけを忘れていく「名もなき人々」が存在する世界。政府内務省の役人ツバクロは読み聞かせをやっていた「名もなき人々」の青年の純粋さに惹かれ、というはじまり。いたたまれなさと巡る優しいものが同居する独特の雰囲気。名もなき人々の設定と彼らを取り巻く環境などBL以外で長編でもいけそうな深い設定がなにげにツボでした。
ここは、愛の惑星。
ショートショート。モテ系ノンケの青年・北くんは、小太りの青年に２人きりになったエレベーターで告白され盛大に戸惑う。拒絶の気持ちはもちろんだけど同時に申し訳ない思いもどっと押し寄せて、みたいな。告白した相手の潔さが泣ける。北くんのモノローグと最後のオチが見所か。
家に帰るまでが遠足
顔見知り程度の同僚関係の２人が待ち合わせて遠足に。こちらもショートショート。
地上で最も美しい生き物
競走馬を育てるため田舎に帰ってきた青年と彼を密かに思う耳の不自由な青年の話。ドラマチックでリアルな話だった。人の誤解と田舎の暗部がなんとも言えず。昭和ドラマを思い出す厳しい展開にハラハラしましたがなるようになったようで良かったです。
絵柄は正直好みではないのですが世界観が素晴しい。BLじゃなくても惚れそうなタイプの話が多いかも。
ARUKU
ビーボーイコミックス全１巻 / リブレ出版
ジャンル：ボーイズラブ / 好み度：★★★☆☆