無法使いアッポちゃん 羽生生純

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菓子パン工場のフリーターとは仮の姿、真の姿は魔法少女アッポちゃん!・・という設定で魔女っ子コスに身を包みご近所の平和を守るためパトロールする圧歩海(25)を中心としたハイテンションシュールコメディドラマ。
この絵柄で魔法少女?と思ったら「無法」少女でした。魔法は使えないってのとアウトロー的意味での無法を掛けているのか、これ。
自分を魔法少女としている実家暮らしフリーターの自由な女性が主人公。魔法使いとしての活動は、犬のソラン(という設定の実妹)とご近所でよく見かける迷惑な人間に対し天誅という名の殴打、そして逃亡という力技。25という微妙な年齢とかコスプレとか酔ってる口調とか行動とか、目が離せなくなる気持ちと本を閉じたくなる気持ちがせめぎあってしまう面白さと痛さ。
犬の着ぐるみを着せられ付き合わされる妹も、穏やかな両親も、主人公に説教する姉も、家族は大なり小なり彼女の行動に思うところはあれど現実逃避モードの主人公の行動に強く言えない状況。そんな中、主人公とまけず劣らずな電波的なキャラ・宇宙人コスプレなザ・レゾネーター兄弟との出会いから彼女たちに変化が訪れるという流れ。
とにかく痛くいたたまれないエピソードが続く中、せつないドシリアスなドラマも入っていく構成。痛さとせつなさの絶妙なバランスの演出が見所か。ある種気味悪さを孕んだ絵柄ゆえかそのインパクトはかなり強い印象。姉の強烈な個性に振り回されていた犬役の妹が物語の肝になり、どうなるのか気になって仕方が無い展開に。
背の低い兄と美形の弟って絵面、なんか映画であったよなー。ど忘れしてますが。そういやさりげにちょこちょこパロディがはさまれてますね。アッポちゃんの変身解除呪文が身も蓋もない。

羽生生純
Fxコミックス全2巻 / 太田出版
ジャンル:青年・ドラマコメディ / 好み度:★★★☆☆