ゆえあって実父と河川敷でホームレス生活をする小学生・大空作の物日常とドラマ。
題名の「あとん」は、ダメなお父さん＝あかんおとん、略してあとん、ということ。母の実家の自転車屋を夫婦で営んでいたが、父親が知人の借金の連帯保証人になりその取立てに追われたことから母は自失状態になり父親と息子は家を出て河川敷でホームレス暮らしをしている、という状況。
主人公は、その息子である小学生の男の子。小学校での同級生との話、ホームレス仲間の大人たちの話、父親の話、バラバラ状態の家族の経緯などが描かれています。大人の事情を見るこども視点と行動がせつなくもあたたかい。
良くも悪くも純粋で狡猾さとは真逆の気質の父親、嫌いだと言いつつも根っこでは父親を慕う主人公。ホームレスに対する世間の目、ホームレス仲間の死などが印象的でした。
正直なところ目新しさはないのですが、それでもストーリーものとしては秀逸なタイトルかと。ピンポイントなネタ出し、エピソードの適度な長さ、泣きどころのさりげない演出。正直作画担当の構成力が大きいんだろうなとも。ラストはご都合主義なハッピーエンドではありますがやはり読後感は良いですね。
作画：板羽皆 / 原作：小堀裕之
ヨシモトブックス全１巻 / ワニブックス
ジャンル：青年・家族ドラマ / 好み度：★★★☆☆