舞台となる街は、件の巨大企業で成り立っている街。完全な封建主義というか上は下に絶対の権力を示すタイプの企業で、優秀な跡取りとして将来を約束され順風満帆だった主人公の少年。しかし事故により性別が変わってしまった少年は巨大企業の跡取り候補から外され手切れ金とともに放逐され新しい名を渡され別の人間として生きることを余儀なくされる。恨みを抱える少女となった少年は、廃墟に集まる同じくグループへの復讐を望む４人の少年たちの中に入る。そして５人で復讐を実行しようという話。
えーと主人公、事故によって性別が変わってしまったっていうのは、男子として生きてきたけど当人の自覚はないものの本当は女子で事故で本来の性別が周囲にわかったということなのか、事故によって性別が変わった（もしくは変えられた）のか、どっちだ、これ。
ともかくも、それまで帝王学バリバリやってきた主人公なわけですから新参者なのにグループのトップを取ろうとする空気読めてない感とか、優秀だけど年相応の世間知らずっぽいってのが光ってますね。
クセのある面々とのやりとりは暗い設定の割りにコミカルさが際立っています。廃墟を根城にする理由や各々の過去の話などの伏線、４人の内真意が読めないタイプのキャラもいてサスペンスものとしては読み応えはありそうではありますが、前時代的な大仰な設定がそれを阻害しているような気がしないでも。
事故により性転換するという始まりに面くらい、主要人物たちのキャラがつかみきれず、と個人的には雰囲気にも展開にもについていけずいまいち楽しめないタイプなのでこの評価。
原作：ゆうきあずさ / 漫画：渡辺ゆうな
ゼロサムコミックス全３巻 / 一迅社
ジャンル：少女・サスペンス / 好み度：★★☆☆☆