チープな恋とフェイクな愛 他単巻少女漫画7件 

ドSさまの言うとおりっ! (SPADE コミックス)
兄崎 ゆな
主人公の女子には触られると蕁麻疹が出るほどに女子が苦手な草食系男子の幼馴染がいる。ある出来事からその幼馴染に本来と真逆の俺様な人格が出てきて、というラブコメ。ジキルとハイドな男子と活発タイプの女子というシチュかな。ラブコメ設定としては突出したものはないが人格入れ替わりの要素をうまくラブコメ的展開に活かしている印象。一巻の中にエピソードも多くラストも綺麗に収まっている。

チープな恋とフェイクな愛 (Betsucomiフラワーコミックス)
尾崎衣良
チープな恋とフェイクな愛・初恋は秘密・シュガーブルーム・世界のユカイな車窓からを収録。かっちりしたというか丁寧な絵柄、特に瞳の描き込みが緻密だなあ。表情のバリエーションは少なめな気もしますがその分雄弁に語るものがあるというか。すれ違いの後解りあってハッピーエンドというパターン、頑なさがある主人公が多いかな。しんじょうびょうしゃは感情に振り回されるというより理論的に考え悩むというかんじ。自然体というかするりと読める物語というか。最後の話は著者の母親の紹介と母親とのドイツ旅行のエピソードを綴ったエッセイ。面白かった。著者のギャグ顔って何か懐かしい気がするの何故だろう。

パンがないなら私を食べればいいのに (マーガレットコミックス)
梨花 チマキ
表題作他先生のあいしかた・センパイフェチ・キスパーティー収録。表題作は周囲も付き合えばと促すほどに仲がいいし、互いに恋愛対象になっているもののかみ合わない状態の2人の話。つれない男子に落ち込む主人公の前に当て馬的役割のチャライケメン男性が現れて、という鉄板展開。微笑ましくてくすぐったいですな。教育実習生と生徒の話、片思い中の女子の話、親友の彼氏を好きになってしまう女子の話など。本来は明るく朗らか、でも悶々と悩んでしまう主人公ってパターンが多いか。主人公の心情に移入しやすく物語として楽しめた。

水恋 (フラワーコミックス)
七尾美緒
水泳部内の恋愛というか三角関係というかなお話。主人公はある男子に淡い片恋を抱いているが部内の女子がその男子を好きだと告げられまた周囲にも宣言したゆえに遠慮してしまうという展開。ライバルは素ではなく計算ってあたりがリアルだ。恋愛の過程や心情描写がとても丁寧な印象。現実だと主人公の性格とライバルの手段では大抵の男子はライバルに傾倒していくんだろうなあ。奥手の主人公を理解し選ぶ聡明でカッコいい男子というのは漫画ならではだろうけど爽快。

双花の檻 (フラワーコミックス)
桃乃 みく
施設育ちの女性はある日資産家の娘であることがわかり屋敷に招かれる。そこには故人である父の息子と養子の青年がいた。世話になった施設のため相続権を放棄せず屋敷に滞在する主人公に、相続権を放棄しろと迫る人間と優しく接する人間、だれが味方で敵かという典型的なサスペンスミステリもの。表紙の主人公がメイド服なのは屋敷に滞在する間はメイドとして働くという展開から。ストーリーとしては王道で可もなく不可もなくといった印象。

花に嵐-新説・曽根崎心中- (りぼんマスコットコミックス)
小桜池なつみ
表題作のほかスパンコールピンク・囚われのスーパーノヴァ・バタフライデイズを収録。表題作は曽根崎心中をもとに遊郭に勤める少女と商人の青年の話。読者層にあわせハッピーエンドにしなおしてるのかな。原作未読なもんで;時代考証も展開もしっかり作られた内容。同時収録は漫画家志望の女子がある男子との出会いで夢を追いつつも女子力をあげ変身する話、隣の3歳上の男子に好意を寄せ続け自分自身を切磋琢磨し続けるも相手にはかわされるばかりの女子の話、幽霊になってしまった女子の話など、ちょっとせつなく清涼な雰囲気の読み応えのあるものばかり。

恋はいつも食べかけ (Betsucomiフラワーコミックス)
登田 好美
恋はいつも食べかけ・8月の忘れもの・塩崎君が触れるので・刹那的な私達の他収録。男子にそれとなく魅了させる術をもつ主人公と絵を描く教育実習生の青年の話。主人公は効果的に男子に魅力を感じさせる術を持っているがそれは過去の出来事が原因で自分を護るためという意味合いが強い。いろんな意味でまっすぐで天然な実習生と主人公のやりとりや関係性が興味深い。同時収録の話では弱視?の男子との恋模様の話が心に残っている。総じてモノローグの描写が鮮烈で静謐で印象的だった。