昭和28年・京都太秦。映画を制作する舞台で、大部屋俳優とフォース助監督の彼らは各々現在の映画界にないリアリティのある映画を目指すが。邦画の黄金期に映画の改革を目指す2人の青年の物語。
邦画といても太秦の現場が舞台なので時代劇の話。当時作られる映画は、演劇とか歌舞伎の舞台のような型にはまった「綺麗な」構成が主流。その風潮に物申したい大部屋俳優とフォース助監督が主人公。
助監督はセットにわざと汚れをつくり、大部屋俳優は1対1ではない乱雑な殺陣を試みる、と映画作品にリアリティを出そうとするも、客はリアリティを望んではいないとスタッフたちに一刀両断されてしまう。
若者が既存を打ち破ろうとする物語。その情熱で古い体制をどう変えていくかというのが主題のよう。正直、映画界に関しては知識不足で現実とどこまで同じなのかはわからず。ただ集団で作る創作物の方針を現場側から変えるというのは並大抵のことではないというのはなんとなく感じるし、わからないながらも双方の考えには納得できるものがあり地に足のついた堅実な話となっている印象。
確かにオープニングがやたら縦長の昔の時代劇って劇場演劇に近かったような。現実味ばかりを追いかけても客にはうけない、というくだりでは石坂某の水戸黄門を思い出した。
星野泰視
モーニングKC全8巻 / 講談社
ジャンル:青年・業界ドラマ / 好み度:★★★☆☆