少女と妖怪を中心にしたせつなくもシュールな日常の物語。
母の仕事の都合で長野の祖母と暮らすことになった主人公の少女。外に出て母へ携帯をかけようとしたところ奇妙な妖怪と出会う。そしてその妖怪はやまちちと言い、少女に近づいたのは少女を介して自分の名前の検索ヒット数をあげてもらうためだという。
妖怪が検索ヒット数を気にするという変わった設定。要するに人間の間で有名になればそれだけ妖怪としての名声があがるということのよう。現代なので口コミじゃなく検索ヒット数になるわけか。
しかしやまちちが目をつけた主人公は友達作りが下手な子だったもんで内心失敗したと思ったものの仕方がないので主人公とつるむことになる。主人公は友人をつくること、やまちちは自分のヒット数をあげることを目的としてともにいろいろがんばるという流れに。
友達を作りたいけれど作れない主人公。顔は可愛いし排他的でも独自の世界観があるわけでなしという普通の子だけど不器用で引っ込み思案な上にとにかく間の悪いことが重なる、実は前の学校でも友達はいなかったのですが母に心配かけまいと取り繕う、泣けば祖母から母に連絡が行くとお面をかぶって泣くというかんじ。
やまちちはえーと・・端的に言うと助平中年のおっさんと短慮な少年を合わせたようなキャラです。セクハラとかエロ発言は常時、また街中の人間の家庭の覗き見はきっちりしているという。
根幹はシリアスというかせつない系なのですが目的に対する行動はずれまくっているというか残念と言うか正直引いてしまうギャグにしか見えないというギャップが見所。
主人公はエロ知識は持っていないゆえやまちちのセクハラ発言がわかっていないところとか、孤独という根っこが似ている境遇の少女と妖怪のちぐはぐな交流が印象的でした。
何のかのと仲良くやっていく2人ですが主人公がやまちちの特性の言い伝えを知り、というシリアスな展開に。どう話が進むのか気になるところ。あと主人公がかなり母に精神的依存しているけど大丈夫かなあという一抹の不安も。
吉沢緑時
秋田コミックスデラックス全2巻 / 秋田書店
ジャンル:青年・ギャグ・ドラマ / 好み度:★★★☆☆