南條範夫原作の時代活劇のコミカライズ。武士という生き物の日本刀による命を懸けた一騎打ちに焦点を当てた短編連作集。
もちろん戦いに至る経緯も描かれていますが全体的に淡々としたもので、鮮烈な一瞬の描写とその後の空虚感の演出が印象的。絵柄も昔ながらの時代劇劇画にふさわしく。
奇異としか言いようのない剣の戦いの描写は漫画の題材としては申し分なく作画の腕も確かで見ごたえがあります。グロテスクさよりも武士の心情の空虚や矜持などがさりげに伝わる演出が良い。
1作目の駿河城御前試合っていったらシグルイの原作?と思っていたらやっぱりそうだった。ヒューマンドラマの色が濃かったシグルイをどうしても思い出してしまうのですが同じ原作でも描き手によりがらりと変わるということに一種の感動を覚えたり。
原作:南條範夫 / 作画:森秀樹
SPコミックス全4巻 / リイド社
ジャンル:青年・時代活劇 / 好み度:★★★☆☆