マシカクロック・となりのハナコさん・さよならさんかく・つい目で追ってしまいました。収録。表題作は、亡き父のまじめに生きれば苦労はないよという言葉に納得し規則を遵守する女子は、趣味のギター演奏をバンドを組む男子に聴かれ彼のバンドに半ば強引に勧誘される。
生真面目な女子だが血筋なのか主人公はギターが趣味で、それを見初めたバンド活動をする男子に誘われるが、バンド活動は校則の禁止事項であり、バンドはやりたし校則破れずと挟まれる主人公の選択と決意は。
主人公の父は、昔やんちゃ者でバンドをやっていたが夢破れ何も残っていないことに愕然とした経験を持ち、娘である主人公が同じ苦労をしてはいけないと自分の過去を丁寧に説明し主人公もそれに納得、という経緯。主人公の生真面目さは親の言うことを聞いてだが、そのまま鵜呑みにしているのとは違うという。
さそった男子も主人公も教師たちも、理不尽さがない、筋の通った人物というのが特徴の1つか。ある意味リアリティがないともとれますが物語としてはこういう話のほうが気持ちが良いのも確かで。
恋愛要素もきちんとありますが、夢に向かっての道程がメインだし、主人公の恋愛の自覚が薄いからか、ゆるやかで茫洋な雰囲気。だが雰囲気は良い。クピトになってるんだかなってないんだかなな別の男子メンバーが妙に印象的。
となりのハナコさんは、死んだらしい少女のことを思う少年の話。面識はなく当人のことはなにも知らない、ただ一度だけ会話したことがあったり彼女が気にかけた捨て犬に傘を置いたことがあったり、と面識はなかった少女を思う。
さよならさんかくは、仲良し幼馴染男子2人と女子1人は実は三角関係状態だったことが判明する話。女子の想い人は女子を身内として好きでしかなく、女子を想う男子は純粋に女子の幸せを願う。相手が幸せになってほしいと思うのはきっと本当の望み。ただそのそばにいるのが自分じゃないのが寂しいだけ。
どの話も、ちょっとせつなくヒネた部分のない純粋な人間描写が印象的でした。
渡辺カナ
マーガレットコミックス全1巻 / 集英社
ジャンル:少女・青春 / 好み度:★★★☆☆