寝ても醒めても 陽気婢

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自分が見たい夢・夢の中で夢と自覚する夢ー明晰夢に傾倒する中学生たちは、ある薬の売買の嫌疑にかけられる。明晰夢を通して綴られる思春期のあれやこれやを描いたお話。夢にまつわる短編「ユメノオシゴト」「エテガミ」も収録。
睡眠時に見る夢とはその画をコントロールできないものだが、明晰夢とは見る夢をコントロールし自分の見たい夢を見るというもの。昔TVのバラエティ番組で見たい夢を見る方法ってのがあったのを思い出した。その番組を見たときはさして興味はわかなかったのをも覚えている。しょせん夢じゃないかと。
でもこのタイトルを読むと、明晰夢というものが存外面白いものだと気づかされる。空を飛ぶとか好きな相手と親密な仲になるとか、それは想像でもできるけど夢ならばさらにリアルな感覚として体験できるからだ。でもまあ現実で満たされないものを補うような夢は嫌だな。ありえないことの疑似体験としては面白いと思うけど。
話がずれました。本編は中学生たちのお話。明晰夢に結構精通した理知的な男子・林、林から明晰夢のやり方を教えてもらい好きな女子との夢を見て興奮する男子・長野、そしてその片恋相手の女子河内とその友人で腐女子属性の冨野。この4人による明晰夢の追求を嗜んでいた所、林の明晰夢に関する言動から、トリップ系の薬を扱っていた生徒に嵌められるというミステリ展開へ。
明晰夢に関する薀蓄なやりとり、思春期のリビドーがらみの夢の描写、そして巻き込まれ型ミステリ展開が見所かな。良い感じの軽快なテンポとコミカルなオチが絶妙。性的なことに興味が出る思春期の話で日常の中のエロ展開が満載だった。読んでみたらさりげに描写が多かったという。
他の2編も夢にまつわるミステリな話。物語としては秀逸だなという印象ばかり。

陽気婢
Fxコミックス全1巻 / 太田出版
ジャンル:青年・ミステリ / 好み度:★★★★☆