ヴァーリアの花婿・龍の守唄・銀世界の証明・おとぎばなしの筆を収録した優しくも厳しくそして暖かいファンタジー短編集。
ヴァーリアの花婿
アジア遊牧民系な世界観のとある部族の結婚の話。娘は長男に嫁ぐはずだったが長男は出奔し数年戻らず、次男との婚儀が決まったが、花嫁と長男は一度手紙のやりとりがあり長男を探しにいくという。・・と書くと女性は長男に想いがあるのかというとそうでなく、状況で流されるままに結婚するというのが納得できなかったというかんじ。どう話が転ぶのかちょっとはらはらしつつも収まるところに収まったかんじでほっこりした。それにしても兄よ、ちと無責任すぎんか。
龍の守唄
龍の一族の天龍の化身たる青年は、いずれ人の形から龍へと変わり天に昇る。そんな青年と彼を送る巫女の少女の話。龍になるのがいやというわけでなく諾々と当然のことしてそのときを待っている青年だが、自分を慕う幼い巫女のことが心配。せつなくも静かな水面のように透明で美しい描写が良い。送り出すもの送られるもの。人としての触れ合いはなくともともに在る。
銀の世界証明
魔道種という魔法使いが存在する世界。少年はひょんなことから魔道種の少女を保護する。少女はお礼にと魔法を使おうとするが少年は激しく拒絶する。というのも魔法を使い切るとその人は砕けて散ってしまうことを少年は知っているから。そんな2人の話。んー、良い話だしハッピーエンドなんですが、もうちょいページ数を割いたほうが良かった話かなという感想。
おとぎばなしの筆
神との契約により加護を受けてるのかと想ったら実は神を神木に封じて恩恵を受けていたという話。神と主人公の先祖の約束、村人のエゴ、主人公の決意、寓話のテンプレのような話でしたがやっぱり感動するよなあ。
どの話もファンタジーど真ん中のお話でした。物語ももちろん良かったけど世界観やキャラの衣装などがものすごくツボでした。
あきづき空太
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★★☆