奔放で毒を持つ女性ミツカの中学時代から結婚する時期まで、各々の時代において彼女に関わった人物の視点から描かれる彼女の人物像を描いたオムニパス。
ミツカという一人の女性を、彼女になにかしら関わった人間の視点で描くという内容。構成は1話完結形式で、同級生の男子の視点の中学時代の話、彼女の二股相手の男子の視点の大学時代の話、気弱で女子力が低くミツカと出会って開花した女性の視点の話、ミツカが通うバーのこどもに恵まれなかった初老のマスターの視点の話、1話目の語り手であり会社の先輩と結婚間近のミツカと再会した男性の視点の話、で構成されています。
ミツカは、奔放で美人で、男性にとって抗いがたい魅力を持ち魔性とも呼べる仕草や雰囲気を持ち、男性を翻弄する行動をしという、某漫画で言うところの猛禽タイプ、なのかな。
ほとんどが男性を翻弄し、絶望や失望へと導く展開ですが、女性の話だけは毛色が違うかな。地味で自信がない女性にレクチャーする展開で、他の話と同じく語り手が翻弄されたといえなくもないけどポジティブな方へ進んだところがね。
この物語の主題であるミツカはたぶん悪意ってのはないんだろう。子供の無邪気な残酷さと欲望と行動原理にさも似たり。計算高いタイプよりも純粋なだけに性質が悪くそれゆえに魅了される女性であるわけで。快楽を代価に体を蝕む薬のように、ひょろっこい神経では彼女についていけないというパターン。結婚相手はその気質を楽しめるというあたり器が大きいのか同類なのか。
ミツカというキャラクターのインパクトだけでなく、男と女の恋愛サスペンスのような構成も秀逸。ミツカの笑った時の絵面には、なんともいえない心の中のざわつきを感じた。
元町夏央
フィールコミックス全1巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★☆☆