名門音大に通いながら競争心のなさから壁にあたった草食系ヴァイオリニストの青年は、ある女性との出会いからパソコンのF1レース・オーバークロックというディープな世界に巻き込まれていく。
主人公の青年は、名門音大に通うヴァイオリニスト。当初は将来を有望視されていたものの競争心のなさが災いし周囲から見放され就職の道を考えねばならない状況に。とはいえ親の教室を手伝うことが決まり問題はあっさり解決したものの釈然としないというか茫洋と生きる自分に疑問を感じていた。そんな中、奇妙な美人と遭遇しそれをきっかけにオーバークロックの世界に入っていくことになる。
主人公のバックボーンやオーバークロックについての描写が冒頭できちんと描かれているし、草食系というかあまり我を出さない穏やかな気質の主人公が、タイプは違えどパワフルな人物たちにかき回され巻き込まれ見知らぬ世界にたどり着く過程も上手い。
現実感とドラマ展開の組み合わせはあいかわらず絶妙。オーバークロックってよく知らなかったのですが、ハード面の技術を駆使して(ソフトもだろうけど)速さを競うってのは確かにF1。
二ノ宮知子
ヤングジャンプコミックスX全9巻 / 集英社
ジャンル:青年・ドラマコメディ / 好み度:★★★☆☆