小説家志望で投稿を続けるも入賞ならず私生活もぼっちな男子大学生の前に現れたのは正体不明の全裸の青年。人気女子大生作家をはじめとした変わり者の作家と小説家を目指す青年を中心に小説を巡るハイテンション青春物語。
同名小説コミカライズ。原作の著者は想像の枠を超える電波設定の中に現実味と人生の本質を的確に描写する人と認識していますがこちらもそれが十二分に伝わる内容。
主人公は小説家を目指す大学一年生。しかし投稿を続けるも入賞には至らず入りたての大学のコンパでは一人鍋をつつくというさみしい状況。そんな中、突如全裸の奇妙な青年が主人公の横にダイブし「バカです」と自己紹介した後に主人公に絡んでくる。酒の席の後も青年は主人公に離れず、なしくずしに部屋に居座られてしまう。また同じ大学に通う人気小説家の女子大生には痛烈な批判と否定の言葉を浴びせられ・・というはじまり。
むちゃくちゃで正体不明の全裸青年や人気小説家だが変人な面もある女子大学生などの言動に、主人公が振り回されたり絶望したり触発されたり。凡庸で創作する人間としての覇気がなかった主人公が、それによって変わっていく過程が主題か。2巻以降は別の変わり者の小説家が登場するみたい。
この手の痛い展開は途中で読みたくなくなるんだけどやっぱ著者の話は引き込まれてしまう。不条理だけでなく端々に希望と正論が組み込まれているからか。作画担当の作風も近いものがあるからかぴったりだしコミカライズとしては成功している印象。表紙と題名にびっくりするかもですが、一読の価値あり。
原作:入間人間 / 漫画:井田ヒロト
角川コミックスエース全2巻 / 角川書店
ジャンル:青年・青春 / 好み度:★★★☆☆