表題作ほか、花より甘い・この俺の言う通り・好きだって言ってみろ・守ってよ王子様・誘ってよ王子様を収録したラブコメ短編集。
表題作はミニチュア作りが趣味の榛名と同じレストランでバイトする木内の話。榛名が木内の涙もろいという秘密?を知る。そんな中で距離が近づく展開があり、という流れ。榛名自身、趣味で元彼女にドン引きされた過去があることから、人に言いづらいものを持つという共感がきっかけなのかな。お互いに認め合える存在ってシチュエーションにほっこりする話でした。
花より甘いは、花屋さんと、常連の高校生の話。社会人と学生カップル、年上は大人かと思いきや存外子供っぽいというシチュエーション。年下のほうがちょっと男くさいキャラで大人にみせかけて嫉妬深い年上受がなんかツボりました。
好きだって言ってみろは、いつも自分に熱い視線を投げかける他校生の中山に声をかける高尾だがという話。相手が自分にわかりやすい好意を持っていると知った上で行動を起こす攻と、本意を知られたくなくて見え透いたうそをつく受という状況から始まる。冒頭の設定がひとひねりあるかなあ。余裕でちょっと意地悪な攻が珍しくおたおたする受がかわいかったです。
この俺の言うとおりは、モテ男で貢がれる日常に嫌気がさしている男子だが、偶然入ったおにぎり屋の息子が握ったおにぎりは素直にねだることができて、という話。冷めたタイプのモテ男が自分の感情に気づくというシチュエーションか。おにぎり屋の息子、かわいいけどしっかり男子というキャラが印象的でした。
守ってよ王子様は、男女とも好意を向けられると受け入れる流されタイプでそれゆえにトラブルも絶えない成に、幼馴染の親友の高也は言い寄る人間避けに自分が彼氏の変わりになると提案し、という話。まあ実は高也は成が好きでという背景があり、仮初の恋人が本物になるという展開。ほかの話よりちょっと乙女な話だったかな。
よく考えるとけっこうエゴが強いキャラと展開にもかかわらず、さほど粘着な印象を受けさせずさらりと描写しているところはうまいなあと。茫洋というかほんわかというか、な著者独特のノリが好い。それにしても別々の話なのにキャラデザが見事に似たような感じと思うのは私だけか。
村上左知
あすかコミックスCL-DX全1巻 / 角川書店
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★★☆