1870年代のイギリス。貴族の子息・アーネストは、かつて家族も通った全寮制のウィンザー校に入学することになる。
イギリスの全寮制の学校を舞台にした学園物。いわゆるギムナジウムものというやつか。今まで読んだこの手の英国全寮制学園物はいろんな意味で濃い話が多かったように思うが、こちらはオカルト要素も歪んだ人間模様もない、正統派の物語と言える。
上級生・下級生の立ち位置とか学校のしきたりをはじめとして当時（いまもそうかはわからないが）の学校風景が自然に見てとれる。
物語は貴族の子息である主人公が、全寮制の学園に入学することから始まる。かつて祖父たちが通った学校であり従兄が上級生にいるので順風な気持ちで入学に臨んだ主人公。同室の同級生たちとも打ち解けるがなじまない生徒がただ１人いるというかんじ。
話のとっかかりによくある環境の違いによる戸惑いや陰湿ないじめなどはない、しかし学園生活における個々人の思惑だったり感情の吐露だったり衝突だったりといういわゆる青春もの的な、でも気恥しくなるような空気ではない、当時の学園に所属する学生たちの描写が良い。
人間関係が固定されたものでなく生活や成長にともない変化していく過程が見どころなのだろう。少女漫画の枠を超えた良作と思われる。
もとなおこ
プリンセスコミックス全６巻 / 秋田書店
ジャンル：学園・少女 / 好み度：★★★☆☆