父の地元に引っ越した霊が見える体質の圭司は、転校先で、犬の頭と人間の体を持つ霊を憑けた七尾に話しかけられる。7代前の七尾の先祖が圭司の先祖に行った所業により、七尾の家系は圭司の先祖に祟られているという構図で、圭司が見た七尾に憑いているものは圭司の先祖というわけ。
ダークオカルト系ファンタジーともいえる殺伐とした設定ながら、他作品との毛色の違いを感じるのは、主人公2人が恨み恨まれの家系同士の間柄ながら当人たちには確執はなくむしろ仲が良いほうで、ある出来事から件の七尾を呪う霊は犬のみとなり一応は無害になったりという展開からか。あと七尾の実母もなんか明るく砕けたタイプだし。
とはいえ、七尾の一族のほかの人間とは嫌われたり利用されたりと微妙な関係だし、呪いにより害をなす対象以外が被害をこうむった疑惑など呪いに絡んだややこしい事態も出てきたり、いったん無害となった犬の霊の中にもまだ恨みを持つ彼の主人の意識はあり、人の害悪の念みたいなものが湧き出てくるなどシリアスな要素も多分にあり。
全体的に興味をひく内容ではあるものの、いろいろ要素を詰め過ぎているのか配置のせいか、ちぐはぐな印象が否めないというのもあり。犬の霊はかわいい。ころっころー。
ヒノモト円時
ビーズログコミックス全2巻 / エンターブレイン
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆