喫茶店のマスターの将一は惚れっぽく失恋ばかり。そのたびに彼の好物のぼた餅を持ってくるのは和菓子屋の看板娘・夕子。夕子は将一に恋心を抱いているが将一はそれに気がついていない。そんな中夕子にお見合いの話が持ち上がる。
ゆったりとした情景と日常を舞台に綴られる恋模様。永い間形成されていた人間関係が変化していく過程が丁寧に描かれています。
少女漫画ではよく見られるパターンなのに目新しく感じるのは、登場人物たちの行動の演出が誇張のない自然体だからかもしれません。夕子のお見合い話をきっかけに、将一にも夕子にもそれまでと違う心情ば芽生え、戸惑ったり葛藤したりといった描写がさりげないのに深い。
「関係の変化」についての考えが逆転するところも興味深いかな。将一はへタレに夕子は前向きに変化するあたりが面白い。
きちんとした線と優しい絵柄、1エピソードを8Pで収める構成が返って物語にメリハリがついて読みやすくなっているように思います。
松田円
まんがタイムコミックス全1巻 / 芳文社
ジャンル:青年・恋愛 / 好み度:★★★★☆