高校生の少年・葉月は兄が死に天涯孤独となり兄の友人である金持ちの青年・阿南に引き取られ暮らしていた。しかし阿南の海外出張が決まり、英語が苦手で日本にとどまりたい葉月は、兄と阿南の共通の友人の高瀬の家に居候することになる。居候中は箸の使い方をはじめとする礼儀作法や料理を仕込まれ反発もする中、たまに見せる高瀬の優しさに引かれていくという展開のボーイズラブ。
葉月は高瀬に恋をし、まっすぐな性質そのままに高瀬と親しくなろうとするが高瀬はにべもない。高瀬も葉月が好きなのですが、高瀬は阿南の家に恩義がありかつ阿南は兄の忘れ形見である葉月に好意を寄せているということで躊躇しているという構図。スパルタ教育なのも阿南の信頼に答えるためだしね。
これというインパクトはない地味な話だけどそれゆえに心に染みる。人間関係の設定がこなれていて、メロドラマ的な構成ですが昼ドラほどドロドロでないところがいいですね。心情描写は丁寧で、自分の気持ちの確認や相手へのアプローチがゆっくりと進んでいく過程は秀逸。
基本的に「いい人」ばかりで構成されているためドラマチックな話が好きな人には脇役にもう一ひねりほしいところかもしれませんが・・。
宮越和草
ガッシュコミックス全1巻 / 海王社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★☆☆