彼女の涙が雪だとしたら ─水森暦短編集─ 水森暦

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彼女の涙が雪だとしたら・舞われ風車・境界線・夏が咲くころを収録した短編集。
彼女の涙が雪だとしたら
中一のとき好きな相手に告白予告をし待ち合わせた先で事故になり4年間眠っていた男子。目が覚めたとき相手の女子には彼氏がいてというはじまり。3人とも大事な人間を大事にしたいという気持ちがひしと伝わる切なくも優しい話。
舞われ風車
去年の夏死んだ幼馴染の女子がひょっこり主人公の男子の前に現れて、という話。むろん女子は幽霊なわけですが、男子自身の女子の死に対する心情の描写が良い。ラストに近いシーンの情景は涙が出そうになった。演出と描写が見事。
境界線
決してブレないゆえに周囲から疎まれるタイプの女子と、その女子好が好きだし味方でいたいけど周囲の状況につぶれそうになる友達の女子。友情というか絆というか、気弱な女子の揺れまくる言動にはリアリティがある。
夏が咲くころ
主人公の男子とその仲間の秘密基地に勝手に入っていたのは家出した少女だった。純粋で真剣な幼い恋情、かみ合わない身内との複雑な心情、幼少時ならではの出会いと冒険の描写が良い。

どの話も手放しでハッピーエンドというかんじではないですが、切ないながらも読後感は良くある種の清清しさを感じるまとめ方かと。最後の話は未来を予感させるハッピーエンドだけど。

水森暦
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆