「千の銃を持つ男」の異名を持つ復讐代行屋の青年の物語。
主人公は表の顔は、警察の会計課に配属された警察官。主な業務は警察が保管する証拠品や拾得物の管理。いわゆる閑職だが、それを利用し復讐代行という裏の仕事を行うとき警察に保管された銃を使用する。そのため殺人現場に残された薬莢が常に違う銃のものであり千の銃を持つ男という異名の由来となる。
腑に落ちないもしくは法による処遇では遺族は納得できないといった事件の関係者に近づき代行を持ちかけ依頼者が出せる代価で持って仕事を行うというパターン。ハイエナのように事件関係者から仕事を取り付けるというわけではなく主人公が遭遇した理不尽に感じた事件の関係者に提案するといった感じ。依頼するか否かは関係者次第ということで。
警察官という仕事柄そういう事件を知ることは多いだろうということで整合性を図っているのかな。
内容は本当に現代版必殺仕事人な物語そのもので。お上の手足である役職につき表の顔は昼行灯、裏の顔は復讐代行という主人公の設定あたりが特に。割とはじめのほうで主人公の過去にかかわるエピソードが出てきてそのあたりがちょっとめずらしかったかな。
主人公の表の顔の同僚である、偏見で物を見ないまっすぐな気質の女性を置くことにより社会の裏やひずみを明確に描写している気がします。あと主人公を追う刑事の存在が正義とはなにかってのアンチテーゼの役割になるのか。ある意味ベタな構成と言えるかも。
ドラマ性とか著者の表現したいものは何かとかそういう難しいことは抜きにして読む内容なのかもしれませぬ。
原作:石渡洋司 / 漫画:山根章裕
ヤングチャンピオンコミックス全6巻 / 秋田書店
ジャンル:青年・ダークアクション / 好み度:★★★★☆