草の上星の下・サルビア・春が来たなら・プリズム。表題作を含めた4篇の読みきり作品集。さまざまな20代の女性たちの物語。
4編各々独立したお話。女性の、日常にみられるような恋愛模様が描かれていますがいずれも結婚がからんだ話なのが特徴かな。詩的なモノローグが印象的でした。
「草の上星の下」
仕事も恋愛もそれなりに充実した24歳の女性。しかし結婚し海外に行っていた姉が突然帰省してから彼女のリズムがくずれていく。姉と妹のお話。互いが自分にないものを持つ相手に持つ少しの羨望と嫉妬とたくさんの愛情。
「サルビア」
12歳年上の男性と結婚した妻は掃除中に夫と昔の彼女との写真を発見する。そんな中、妻へ元カレから連絡が来る。過去別れた男性の思い出の品を辛いからと処分する妻、元彼女の写真をおいておくことに違和感を示さない夫の各々の主張と対比と喧嘩後の行動が興味深かったです。
「プリズム」
男子教諭に恋する女子高生。しかし教諭には同棲中の相手がいた。それでも好きという感情が止められず相手の女性とも仲良くなり3人でいられる状況を好ましく思うけれど・・。この話だけちょっと毛色が変わっているかな。高校生が主人公だからか少女漫画っぽい。
「春がきたなら」
母を早くに亡くし作家の父と長年暮らしてきた女性。編集者の彼との結婚が徐々に重くなってくる中、父親の事故による自分の自覚していなかった感情が浮き彫りになる。その感情の名前をつぶやいたページの効果はうまいな。
よそから見れば順風だし当人も深刻な悩みがないけれどそれでも心の中に存在するもやっとしたものの描写が絶妙。
谷川史子
クイーンズコミックスコーラス全1巻 / 集英社
ジャンル:女性漫画・恋愛 / 好み度:★★★★★